[ Main Page ]

マンニトールはTNF-αによる有毛細胞のネクローシスを抑制する

Otology & Neurotology 33 (9):1656-63, 2012

Mannitol Protects Hair Cells Against Tumor Necrosis Factor α-Induced Loss.

Bas Infante E, Channer GA, Telischi FF, Gupta C, Dinh JT, Vu L, Eshraghi AA, Van De Water TR.
Cochlear Implant Research Program, University of Miami Ear Institute, Miami, Florida, U.S.A.

仮説:マンニトールはTNF-αによる有毛細胞への傷害を押さえる働きを持つ。
背景:マンニトールはいくつかの臓器において、細胞保護の働きを持つ。虚血後の難聴においても保護的な働きを持つことが知られている。 マンニトールの有毛細胞保護のメカニズムや作動部位は分かっていない。
材料と方法:コルチ器は日齢3の子ラットから採取された。マンニトールの安全性は1-100mMで4種類の濃度で確かめた。 主実験はコントロール群・TNF-α群・TNF-α+マンニトール群で行い、有毛細胞はFITC標識ファロイジン染色にて計数した。 また、phospho-c-Jun、アポトーシス促進因子:cleaved caspase-3、apoptosis inducing factor (AIF)、endonuclease G (Endo G)の免疫染色を行った。
結果:1-100mMの濃度でのマンニトールの安全性が確かめられた。TNF-αの耳毒性が示された(p < 0.05)。 TNF-α曝露下での100mMマンニトールの耳保護作用が示された(p < 0.001)。マンニトール追加群では、TNF-α曝露群で認められた phospho-c-Junの濃度上昇が減少していた。AIFクラスタ生成や、EndoGの核内への移行も減少していた。
結論:マンニトールはJNK、AIF、EndoG転移を抑制し、TNF-αの耳毒性を軽減する。この局所的な耳保護作用は、 CIなどの内耳手術での残存聴力の保護での治療の一助となるかもしれないし、虚血後の内耳障害においても同様である。

マンニトールは、浸透圧利尿薬として臨床的に広く使われているが、その臓器保護作用については、一部の研究があるのみである。 血管作動性によるものか、細胞保護の働きによるものか詳細についてはまだわからない点が多く、内耳に対する働きについてはほとんど研究されていない。
今回の研究では炎症性サイトカインであるTNF-αの耳毒性を用いて、マンニトールの細胞保護作用について調べた。

図1 細胞の生存について、apex/middle/basal turnでの細胞数を計数。TNF-α群でbasal turnで有意に傷害を認めるが、 マンニトール追加投与群では保護作用を認める。
図の説明文が矛盾、多分、別の図を挿入してしまったのだろう。本当は、どのマンニトールの濃度(1,10,50,100mM)でも有毛細胞が 傷害されないことを示す図が入るはずだった。

図2 図1と同様。図1の改訂版の図だろう。

図3 phospho-c-Jun免疫染色。TNF-α単独投与群では支持細胞内にp-c-Junを認めるが、マンニトール追加投与群では、 それが抑えられている。有毛細胞では変化なし。

図4 Endo Gのnuclear translocation。有毛細胞stereociliaはFITC-phalloidinにて染色。 ミトコンドリアはMitotracker orange、有毛細胞の核はDAPI(青)にて染色。Endo Gはanti-Endo G-Alexa 633(赤)で染色。 TNF-α投与群で有毛細胞核内にEndo Gを認め、マンニトール追加投与群ではこれが減少している。

図5 AIFで図4と同じことをした。AIFについても、図4と同様の結果が得られた。

マンニトールの細胞保護作用が、循環血液量の増加による組織循環の改善によるpO2の上昇によるものなのか、 OH基の持つフリーラジカルを中和する働きによる物かはまだはっきりしていない。しかし、今回の研究から、 炎症カスケードのうち少なくとも一つのパスウェイではマンニトールが細胞保護的に働くことが分かった。
マンニトールを治療で使用する際の投与経路については、いくつかの考察が可能である。点滴での投与が最も考えられるが、 鼓室内投与が行われているステロイドと同様の経路を使用できる可能性がある。分子量182であるマンニトールはRound Window Membrane を透過することができる可能性がいくつかの研究から示唆されており、例えば、 虚血に対しマンニトールを鼓室内投与した研究ではDPOAEの減少の抑制が観察されており、このことは、マンニトールが、 上記のような循環作動的に耳保護作用をもたらしたのではないことを示唆している。
TNF-αは、ミトコンドリアパスウェイを通じてhair cell (HC)のアポトーシスを引き起こすと考えられる。このパスには、 proapoptotic Bax moleculeやJNKやBcl-2といったanti apoptosis geneのdown regulationも含まれている。今回の研究では、 TNF-αにより認められるp-c-Junが、HCではなくsupporting cell (SC)において抑制されており、いくつかの研究でも示されているとおり、 HCの細胞死にSCが関わっていることが示された。また、HCのTNF-αによるapoptosisはcaspase-3パスウェイにより制御されていないことがわかった。 HCのapoptosisはAIFやEndo Gの細胞質への移行といったミトコンドリア傷害性のルートにより制御されていると考えられ、マンニトールは、 これらのミトコンドリア膜間からの細胞質への移行を抑えることで細胞死を防いでいると考えられる。
この結果の臨床応用として、ステロイド抵抗性の難聴に対して使用することも考えられるが、今回使用した材料は日齢3であり、 成人でも同様の結果を得ることができるかは未知数である。また、SCやHCの状態が同様に体内でも保たれるかは分からない。 また、上述の通り、CI等で残存聴力を期待する場合等においても使用が考えられる。

There is no IGLU cabal! The former cabalists are trying to prove the
correctness of a program that proves the correctness of proofs of other
programs.

Shlomi Fish in Hackers-IL message No. 2607
("Proving the Correctness of a Proof")

    -- Shlomi Fish
    -- Hackers-IL Message No. 2607 ( http://tech.groups.yahoo.com/group/hackers-il/message/2607 )

Thats why I cant take sides on this issue and Im not going to. But every
working software developer should understand, at least, how standards work,
how standards should work, how we got into this mess, so I want to try to
explain a little bit about the problem here, and youll see that its the same
reason Microsoft Vista is selling so poorly, and its the same issue I wrote
about when I referred to the Raymond Chen camp (pragmatists) at Microsoft vs.
the MSDN camp (idealists), the MSDN camp having won, and now nobody can figure
out where their favorite menu commands went in Microsoft Office 2007, and
nobody wants Vista, and its all the same debate: whether you are an Idealist
(red) or a Pragmatist (blue).

    -- Joel Spolsky
    -- "Martian Headsets" ( http://www.joelonsoftware.com/items/2008/03/17.html )


Powered by UNIX fortune(6)
[ Main Page ]