糖尿病性腎症において、高血圧は確実に腎不全への進行速度を上げる。したがって、微量アルブミン尿が出現する第2期以降では、降圧治療が重要である。 血圧コントロールの目標値は、糖尿病のみの場合130/80 mmHg、蛋白尿1 g/day以上の場合は125/75 mmHgである。ここでは、薬物による降圧治療について述べる。 第1選択はACE阻害薬またはアンジオテンシン�脅�容体拮抗薬(ARB)である。 アンジオテンシン�兇蓮∩歓箸侶豐匹鮗�縮させるが、特に輸出細動脈に対する収縮効果が強い。 よって、アンジオテンシン�兇虜醉僂鯀乏欧垢譴弌∋綉綢瞭皸気魏爾押�発症初期のGFRの増大を防ぎ、 蛋白尿の増加や腎機能の低下を抑制することができる。以下にACEIとARBの作用の違いを述べる。 アンジオテンシン�兇亮�容体にはAT1受容体とAT2受容体のサブタイプが存在する。2つの働きを簡単にまとめると下のようになる。
ほかにもさまざまな生理作用があるが、AT1受容体は全体として血圧を上昇させる方向に働き、 AT2受容体はAT1受容体と拮抗して働く。この2つの受容体の発現バランスが心血管病変の発症に重要なのである。 ACEIはアンジオテンシン�兇了裟犬鰺淦�するので、これら2つの受容体の両方をブロックして降圧作用を発揮する。 これに対してARBは、AT1受容体を選択的にブロックする。ARBの投与によって、AT1受容体の作用は阻害され、 これによりレニン分泌に対するネガティブフィードバックもブロックされるので、血中のアンジオテンシン�兇稜仕戮�上昇する。 増加したアンジオテンシン�兇蓮▲屮蹈奪�されていないAT2受容体を刺激する。これによって、AT2受容体の作用が増強される。 このようにしてARBの降圧作用が発揮される。ELITE II研究によると、ARBとACEIの有意差は見られなかったが、 ARBのほうが忍容性が高いということがわかった。また2004年11月のN Engl J Medに出ている結果によれば、 ARBとACEIの糖尿病性腎症における効果は同等である。ARBは新しい薬だが、現在ではARBの方が主流になっているようである。 ただし、これらは腎機能が低下している場合には用いることができない。GFR低下時には、 アンジオテンシン�兇�輸出際動脈を収縮させていることで、かろうじて糸球体内圧を保ち、GFRを確保している。 この状態でこれらの薬剤を投与すると、糸球体内圧が急激に低下し、一挙に腎機能が悪化する可能性がある。 また、催奇形性があるので、妊婦に対する投与も禁忌である。 したがって、ACEIまたはARBが使えない場合や効果が不十分な場合には、Ca拮抗薬を投与する。Ca拮抗薬は、 動脈の血管平滑筋細胞を弛緩させるので、狭心症の治療薬および降圧薬として使われている。降圧薬としては、 血管平滑筋に対する作用が最も強いジヒドロピリジン系が主に使用される。本剤は肝排泄性であり、腎機能が低下した患者でも比較的安心して使うことができる。 以上にあげたような薬剤を用いて、高血圧の十分なコントロールを行って、腎症の進行を遅らせることが大切である。
参考文献
アンジオテンシン�脅�容体ブロッカー 日本医学出版
新時代の降圧薬療法 新興医学出版社
アンジオテンシン�脅�容体拮抗薬 医薬ジャーナル社
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